Works

もっと多くの人に番組を楽しんでもらうために。
視聴者を深く知る調査と、納得できるペルソナの共創

視聴率の向上と新規顧客獲得のために、ユーザーの行動やニーズを調査したいと考えていた、日本最大の音楽専門チャンネル「スペースシャワーTV」。調査を外部に任せきりにせず、自ら積極的に関わりたいというスペースシャワーTVの思いを受けとめ、ニューロマジックが「問い」の共創から調査をスタート、ペルソナの作成まで伴走しました。

Keywords
  • デザインリサーチ
  • ワークショップ
Project

スペースシャワーTV ユーザー調査/ペルソナ作成

Clients

株式会社スペースシャワーネットワーク

Released

背景

より良いコンテンツ作りを目指しつつも、市場や視聴者のニーズが目まぐるしく変化する中、「この方向性でよいのか、視聴者の求めているものと合致しているのか」という疑問を抱えていたスペースシャワーTV。視聴率の向上と新規顧客獲得という目的を達成するためには、ユーザー調査を行い、実際の視聴者の姿を理解する必要があると考えました。

本調査以前に、別案件で視聴者インタビューを提供していたニューロマジック。そのインタビューの成果をスペースシャワーTV担当者にご評価いただいたことが、今回の調査および調査結果に基づいたペルソナ作成の依頼につながりました。

ニーズに適したコンテンツやコミュニケーションを考えるための礎として、調査を通じてターゲットに共感し、彼らが求めていることを理解する 視聴者からSpaceShowerTV:音楽との関わり方、視聴したいコンテンツ、登録と視聴がしやすいWEBサイト/サービスなど スペースシャワーTVから視聴者:提供すべき番組コンテンツ、コミュニケーションとは

課題の精査

視聴率の向上と新規顧客獲得という目的達成のために、調査の開始以前に「そもそも何を明らかにしたいのか」「そのために、問いをどう設定すべきか」という根本の部分から問い直しをスタート。真の課題を洗い出し、目的を実現するためには何をすべきかという意思決定をサポートしました。

プロセス

ヒアリング

スペースシャワーTVが事前に設定した仮説や具体的な設問案は、コンテンツの内容やウェブサイトの使用感を直接的に問うものが多く、「サービスをより良くしたい」という制作者目線が色濃く反映された案でした。ニューロマジックからは、「まずは視聴者自身について掘り下げ、理解を深めることが、真の課題を見出だすことに繋がる」とご提案。結果、ユーザー目線を取り入れた仮説の見直しを行い、それに合わせて想定ターゲットや聴取内容を変更しました。

視聴率向上のための調査

チャンネル契約者の中から、競合他社も含めた音楽チャンネル全般の視聴頻度が高い方を対象に、スペースシャワーTVへの期待感を探るインタビュー調査を実施しました。対象者には事前アンケートとして、番組を見ながらリアルタイムに、評価・コメントを用紙に記入していただくよう依頼。リアルタイムで回答いただくことで、回答内容が曖昧になるのを防ぐとともに、あえて紙を用いることで、通常のアンケートでは引き出しにくい「呟き」のような率直なコメントが出てくることを期待しました。

アンケートに基づいて実施したインタビューには、スペースシャワーTVの担当者も同席。普段聞くことのできない、視聴者からの生の声が聞ける機会となりました。

イメージ:視聴率向上のための調査

新規契約者獲得のための調査

チャンネル未契約の音楽ファンを対象に、インタビュー調査を実施。ファン歴や活動内容等、インタビュー対象者自身についての話を詳しく伺った上で、スペースシャワーTVが制作したアーティストの特集番組を視聴していただき、その感想やチャンネル登録に際してのハードルについてなどの質問を行いました。インタビュアーはある程度音楽の知識がありユーザーの回答に共感できるような人物が務め、ユーザーが本音を話しやすい雰囲気づくりにも配慮しました。
視聴者インタビューと同様、スペースシャワーTVの担当者も立ち合いました。

ペルソナ作成ワークショップ

インタビュー調査の結果と、スペースシャワーTVのマーケティング担当者の知見を元に、ワークショップ形式でペルソナを作成しました。ニューロマジックがペルソナを最後まで作り込むのではなく、あえてワークショップ形式を選んだのは、現場の担当者が心から納得し「これだ」と共感できるペルソナを作り上げるため。また、視聴者と日頃から向き合っている担当者の声を反映したいという理由もありました。

ワークショップでは、今後の施策のためにどのようなペルソナを作るべきか、専門家としての観点から提言。また、ファシリテーターとして、偏りなく皆が発言できる場づくり、メリハリをつけるためのタイムキーピングを行い、ときには担当者の思いを言語化しながら、全員が納得する結論に至れるよう導きました。

イメージ:ペルソナ作成ワークショップ

最後に

「ユーザーに向き合い、ユーザーが望むものを作りたい」という思いからスタートした本調査。調査では、率直な意見の中に思いがけない気づきを得るなど、ニューロマジックにとっても非常に学びの多い、意義あるものとなりました。そして、チャンネル担当者に調査を通してユーザーの生の声に触れていただくことで、思い込みではない、皆が確信を持って「これだ!」と納得できるペルソナを作り上げることができました。
本件はひとまずペルソナ作成というゴールに到達しましたが、今後は「ペルソナに基づき、より多くの方に選ばれるチャンネルを目指す」という次のゴールに向かって、スペースシャワーTVへの伴走は続いています。

成果につながるリサーチを行うためには、「適切」な問いの設定が重要です。思い込みや理想ではなく、目的達成のための布石となるユーザー像を作り上げるために――ニューロマジックではまず、「何のために調査を行うのか」を共に考えるところからスタート。
クライアントが持つ課題への理解を深めるとともに、サービスデザインのエキスパートならではの視点をもって先入観を解きほぐし、問いを共創します。
リサーチの実施をご検討されている方、まずはお気軽にご相談ください。

お客様の声

今回依頼した調査は私共の業界への深い関心と理解が必要な内容でしたが、ニューロマジック様は課題の洗い出しからペルソナ設定まで粘り強く伴走してくださり、私共のお客様に対する多くの気付きと新たな発見を得ることが出来ました。
結果、デプスインタビュー実施前と後では社内の意識も変わり、議論も活発になるなど、改めて自分達の強みと方向性を見直す良いきっかけとなりました。

株式会社スペースシャワーネットワーク編成制作部齋藤新氏

体制

写真:永井菜月 サービスデザイナー
永井菜月サービスデザイナー
写真:吉岡直人 デザインリサーチャー
吉岡直人デザインリサーチャー

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